展示室4-3 ここではアメリカのウランガラスを紹介しています。

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(1) コンポート、米国Northwood社、H17.0
  cm、1920年ころ 
(2) 同左 UV

  写真(1)のコンポートは「ストレッチガラス」(Stretch Glass)と呼ばれ、1916年〜1925年ころ、米国ノースウッド (Northwood) 社により作られたものと思われます。高さは約17cm。このコンポートはSue C. Davisの本’Pictorial Guide to Vaseline Glass’にも紹介されています。

「ストレッチガラス」は、1916年から1930年代半ばまで、ノースウッド社、フェントン社、ティフィン社など、いくつかの米国のガラスメーカーで作られました。型押しガラスと型吹きガラスがあります。現在もフェントン社で作られています。「ストレッチガラス」はウランガラス特有のものではなく、特殊な表面処理を施したガラス製品のことで、虹色の光沢と「ストレッチマーク」と呼ばれる細かい表面「割れ」のような模様という2つの特徴があります。

どのようにしたらこのようなガラスができるのでしょうか。まず、成形したガラスの表面に金属塩溶液をスプレイすることにより虹色の光沢が得られます。スプレイされた液体は表面に薄いガラス膜を作りますが、基材ガラスとは光学的な性質が違うので、虹のような表面光沢がでてきます。ちょうど水面に浮いた油の膜のような効果です。

さらに、スプレイしたガラスを炉で加熱し、取り出して最終的に成形する工程により「ストレッチマーク」が作り出されます。この最終成形工程では、熱で軟らかくなったガラスを伸ばしたりして形を整えるので、「ストレッチ」することになります。その後ガラスを徐々に冷やしますが、このような加熱-成形-冷却の過程により表面に微細な割れが入り、これが「ストレッチマーク」となります。

「ストレッチガラス」とよく似たものに、「カーニバルガラス」があります。カーニバルガラスも虹色の光沢がありますが、細かい割れ模様はありません。これは製法の違いによります。カーニバルガラスは、最終成形したあとにスプレイを吹きけるので、虹色の光沢はあっても、細かい割れ模様はできません。また、カーニバルガラスは、動物の置物などいろんな型押しガラスに見受けられますが、ストレッチガラスはシンプルなデザインのガラス食器などに多いようです。

    

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(3) ボウル、米国フォストリア社エアールーム
  、H11.5 cm、1960年ころ 
(4) 同左 UV

  写真(3)はエアルーム(Heirloom)という名称で知られる米国フォストリア(Fostoria)社のボウルで、1960年ころに作られたものです。高さは最も高い部分で約11.5 cm。上から見ると四角い形をしていて、1辺は15 cm程度です。フォストリア社は、1887年にL. B. MartinとW. S. Bradyによって米国オハイオ州のフォストリアで設立されました。その後1892年にウエストバージニア州のマウンズビルへ移転し、1986年まで100年近くのあいだ数々の手づくりのガラス製品を作りました。

ウランを入れたワセリンガラスでは、このエアルームが有名です。エアルームのデザインには、何種類ものパターンがありますが、いずれもベースが黄色透明のウランガラスで、上へいくにつれて内部が乳白色のオパールガラスに変化し、表面にうねりがあって、先端が尖っているという特徴があります。斬新なデザインでありながら、同じものが2つとない手作りの良さが感じられます。このエアルームは1959年から1962年まで製造されました。写真のボウルは、モールド番号が2720、パターン番号が168というものです。

    

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