展示室4-2 ここではアメリカのウランガラスを紹介しています。
(1) ウオーターゴブレットUV、アメリカ Tiffin社、1920年代、H 18 cm |
(2) デザートカップUV、アメリカ、H 8 cm |
(3) コーヒーカップ、アメリカ | (4) 同左 UV |
写真(7)は"Milk Glass"と呼ばれ、薄いアイボリー色の不透明なプレスガラスです。皿の表面には葡萄の房と葉の浮き彫りがほどこされ、裏面にも格子状の幾何学模様の浮き彫りがあります。裏面中央にはメーカーのマークと思われる"N"という文字が見えます。 |
写真(9)は、米国フェントン社の淡いライム色をした白色の花瓶です。1970年代以降のものと思われます。高さ14 cm。底には楕円のなかに"Fenton"というマークがあります。上部の花びらのような形とボディの縦に溝がついた膨らみのある曲線がよく調和し、どことなく白牡丹のような上品さを感じさせます。 |
写真(11)は、米国ノースウッド(Nrothwood)社製のベリーセットのソース入れです。1898年ー1900年ころ。直径13 cm。プレスガラス。ノースウッド社は1888年、ハリー・ノースウッド(Harry Northwood)らにより設立され、1924年まで数々のガラス製品を製造した米国の代表的ガラスメーカーです。いちご類を盛る大きなボウルとセットになった小ボウルの一つで、いちごにかけるクリームなどを入れるものと思われます。脚の部分がたて溝付きの渦巻き型になっているところから、"Fluted Scrolls"という名称がついています。また、通称"Klondyke"とも呼ばれています。白っぽいオパールガラスの縁の部分は貝がらのデザインになっています。ボウルの部分にエナメル絵付けでデイジーの花をあしらったものもあるようです。Northwood社の代表的なデザインのひとつです。 |
写真(13)は、米国ジェファーソン・ガラス社(Jefferson Glass、1900年〜1930年はじめ)製のFancy Fantailsという名称のついた脚付きローズボウルです。1905年のもの。高さ10 cm。プレスガラス。脚部分が扇鳩の尾(Fantail)に似ているので、こういう名称が付けられたのかもしれません。上部は白っぽい不透明なオパールガラスになっていて、縁の部分にクランベリーのような濃い赤色のガラス粒を吹き付けたような装飾があるのが特徴的です。ちなみに、この写真のように全体が球形で、上部がすぼまっていて、ひだがついたガラス器は、ローズボウル(Rose Bowl)と呼ばれます。ローズボウルは1880年ころ、ビクトリア時代から作られ始め、薔薇の花などのポプリを入れるものとして用いられました。 |
写真(15)は、フェントン社の白色ベースのバーミーズガラスです。このページの写真(5)やページ4-1にも、同じコンポートが展示されています。通常のバーミーズガラスは金を混ぜてあり、その発色作用により、レモン黄色から濃いピンク色に色合いが変化しますが、これは金を使っていないものと思われます。このような白色のウランガラスもバーミーズ(語源はビルマの夕焼けに由来)の仲間として扱われています。裏にフェントン社のマークの刻印と絵付けをしたアーティストの署名があります。花の部分は砂絵のような技法で、細かい粒々が貼り付けられています。葉の部分はエナメル彩です。 |
1920年代から1930年代にかけて、米国のフェントン社、ノースウッド社、ティフィン社などで、サテン仕上げやストレッチガラスと呼ばれるウランガラス(ワセリンガラス)が作られました。写真(17)は、1932年にティフィン社で作られたサテン仕上げのコンポートです。サテンというと滑らかな艶のある織物のことですが、ウランガラスの場合は、どちらかというと「つや消し」されたものを言うようです。 |
米国フェントン社のフェアリーライト。写真(15)のコンポートと同じシリーズのものです。底にはフェントン社のマークの刻印があり、ドームの内側に絵付けをしたアーティストの署名があります。フェントン社のフェアリーライトには、ドームの上部がピンク色で下部へ向かってレモンイエローに色調が変化する「バーミーズ」に、赤い薔薇の花を描いたものがよく見られますが、なかにはこのような淡いライム色をした白色に近いものもあります。 |