展示室2-2  ここではボヘミアとドイツで作られたウランガラスのワイングラスなどを紹介しています。

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(1) 化粧トレイ、プレスガラス、ドイツ、
  L12cm
(2) ワイングラス(Roemer glass)、12面の
  カットグラス、ドイツ、19世紀末、H14cm

(3) ワイングラス(Roemer glass)、ステムは
  プレスガラス、ボール部に葡萄の彫り、
  ドイツ、20世紀初め、H12cm

 写真(2)と(3)のウランガラスは、レーマーグラス(Roemer glass)とかレーマー杯と呼ばれており、ステムの部分がスカートのように広がり中空になっているのが特徴です。ドイツでは今でもこのようなレーマーワイングラスが作られていますが、ウランガラスはないようです。

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(4) リキュールグラス、プレスガラス、ドイツ
  、H8cm。ヒストリスムス様式。
(5) ワイングラス、ドイツ、H12cm (6) 小皿、プレスガラス、ドイツ、D9cm
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(7) パウダージャー、ボヘミア、アールデコ
  様式、1930年代。H10cm
(8) カクテルグラスUV、ドイツ、H15cm (9)小花瓶、ドイツ、H9cm

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(10) フィンガーボール、アラバスターガラス
   、チェコスロバキア、D11.2cm、
   H6.5cm、1920頃 
(11) 同左 UV

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(12) ボール、クリソプレイズ(緑玉髄)ガラ
  ス、ボヘミア、D12cm、H5.8cm、1840s 
(13) 同左 UV

  写真(10)はいわゆるアラバスターガラスというものです。アラバスター (Alabaster)とは、大理石の一種で透明感のある乳白色の石です。古代エジプトなど の美術工芸品にアラバスターの彫刻があるのをよくご存じでしょう。ウランガラスで もアラバスターガラスと呼ばれるものがあり、淡い青緑色をした半透明のウランガラ スのことを言います。アラバスターガラスは、透明なガラスに肉眼では見えない小さ な粒子を分散させることにより光を散乱させ不透明感をだしたものですが、アンナゲ ルプ(淡い黄色)やアンナグリュン(淡い緑色)のウランガラスと同じように、ビー ダーマイヤー時代に作られるようになりました。

写真(10)のフィンガー・ボールは、青緑色というよりも淡い青色のトルコ石 (Turquoise)に近い色合いのアラバスターガラスです。注意深く見るとガラスの内部 にたくさんの小さな粒が見えます。また、ボールの底面のポンティル跡は円形状 に研磨され、直径2 cmほどの円内に逆三角形の図案化されたマークが酸エッチングさ れています。このマークは明るい照明の下でないとわからないほど極めて微かなもの ですが、"Czechoslovakia"、"MARK"、"TAL"という文字が読みとれます("TAL"はドイ ツ語で「谷」という意味です)。したがってこのボールはチェコスロバキア製という ことになります。チェコスロバキアが国家として誕生したのは第1次世界大戦後の 1918年のことですから、このボールはそれより後に作られたものと思われます。

ところで、名著「ウランガラス」(苫米地顕 著)によれば、「ウランで着色された ガラスが作られたという古い記録としては、ボヘミアのハラッハ伯爵ガラス工房が、 骨灰を混合したアラバスターガラスで緑玉髄に似たガラスを作り、1831年にプラハで 新製品として展示したということを最も古いものとして挙げることができる。」と書 かれています。この「緑玉髄」とは、透明に近い澄んだ薄緑色の鉱物で、英語ではク リソプレイズ(Chrysoprase)と言います。写真(12)のボールは、"Chrysoprase glass"と言われているものです。このボ ールは型押しで成形された後、上部のエッジの部分をカット仕上げしてあります。ガ ラスの内部には微粒子は見えず、透明感のある淡緑色をしています。作られたのは 1840年代のビーダーマイヤー時代と言われています。

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(14) 灰皿、ボヘミア、D13cm、1920年ころ、
   プレスガラス 
(15) 同左 UV

  写真(14)は、わずかに緑がかった澄んだ水色の灰皿です。紫外線の下では右の写真のようにウランガラス 特有の緑色の蛍光を発します。蛍光の強さは黄色や緑色のウランガラスと同じ程度です。 ウランガラスでこういう水色のガラスはあまり見かけません。青色のガラスはウランガラスでない場合が多いようです。 ボヘミアで 1920年ころ作られたもののようですが、刻印はなくメーカー不詳です。 一見カットのように見えますが、プレスガラスです。

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